家の中でも靴を履いて生活する文化であるアメリカの人にとって、”土足禁止”というのは、とてもややこしい、分かりにくいルールなんです。なぜそういったルールがあるのか、そのルールの意味事体がいまいち分からないのです。
”家の中で靴を履かない”、アメリカ人はこのルールの意味がいまいちわからない
昔、我が家では靴を脱ぐので、貴方も靴を脱いでくれる?と言うと、なんで?と返されたことがあります。靴を脱ぐ、つまり家の中では靴を履かないという意味が分からないということ。
昔、私のアメリカ人の旦那の親戚が、「私も家の中では靴は履かないわよ」と私に言って、家の真ん中で履いていた靴を脱いだのです。その脱いだ靴は、部屋の端のカーペットの上に無造作に置いた。彼女にとって、靴を家の中では履かない理由は、靴を脱いだ方が足がリラックス出来るから。靴を脱いで足を休めるという意味でした。
また、ある韓国人家族の家でピアノを売りに出していて、ピアノを見に行った時の事です。韓国人も家の中で靴を履かないのを知っていたので私はに靴を脱いで家の中に入りました。一緒にいた義理の母は、足が痛いからと理由にして脱がずに家の中に入ったのでした。
何処で脱げばいいのか分からない
別の例として、昔、私の主人が主催したポーカーの試合で、20人くらいが我が家にやって来たときのことです。ほとんどの人が私の顔見知りであり、その人たちは、我が家が靴を脱いで生活していることを知っていたので玄関口で靴を脱いで家の中に入ってくれました。しかし、一人、私の知らない顔が外から急いだ様子で入って来たのです。貴方がこの家の奥さんですか?と丁寧に挨拶して、土足のまま二階に駆けて行ったのでした。それで、たまたま1階に降りてきた一人に、「今、来た人、靴を履いたまま2階に上がって行ったんだけど、靴脱いで欲しいんだけどな。」と私が言うと、「分かった、僕が言ってあげるよ。」と言って2階に上がって行きました。てっきり私は、その男性が靴を手に持って階段を下りて来るだろうと思っていれば、降りてこない。それで、私が2階に上がると、部屋の端その人の靴が脱ぎ捨ててあった。明らかに、この人は、脱げばいいだけで、玄関口で脱ぐのが当たり前なんて思わなかったからでした。
また、私の義理の母は、靴を玄関口で脱がずに、玄関から少し離れた所まで入って来るのです。そこで靴を脱ぐ。なぜ、玄関口のドアマットの上で脱がないのか分かりませんが、玄関から2メートルくらいの所に彼女の脱いだ靴が置かれているのです。
靴を脱ぐのは人が見ている時だけ?
アメリカの公共の場所で靴を脱ぐという場所は少なく、その一つがヨガ教室です。フィットネスクラブの中のヨガルームでもヨガスタジオの中の部屋でも、靴を脱ぎます。インドのヨガ教室はきっと違うんだろうなと想像してしまいますが、アメリカでは、典型的なアメリカのヨガスタジオだと靴を履いたままスタジオの中に入り、入り口付近やロッカー室に用意された棚やロッカーで靴を脱ぐ。ヨガのクラスを行う部屋(教室)では、靴は履かない。裸足で教室の中に入る。これが普通です。
教室の中では、裸足でヨガをやるわけですから、教室の中は土足禁止だという事になりますが、あえて、教室の中は土足で入ってはいけませんと張り紙があるわけでもないし、
スタジオの人も、入会の説明で「靴では絶対に教室に入ってはいけません」とは言わない。ローカーに案内して「靴はここで脱いで好きな棚に脱いだ靴を入れてもいいです」と言うくらいです。
その説明で充分に「教室には靴で入らない」ということがわかるからです。でも、たまに、その暗黙のルールがわかならいのか、それともただ単にルールをリスペクトしない、気にしないってことなのか、土足で教室の中に入って来る人がいます。
今日、そういう人を見ました。ヨガをやる部屋に、土足のまま入って来た人がいました。ロッカールームに行って車のカギや靴を置く前に、自分のヨガマットを確保したかったようで、土足のままで入って来て水とタオルをマットの上に置いて部屋を出て行きました。この人のその様子を見て、私は、ヨガをやる時にさえ靴を脱いでいれば良いのだろうと思っているんだろうなと思いました。
インストラクターでも、土足で入って行く人もいます。クラスが始まる前の準備で、土足のまま部屋に入って行く人も見たことがあります。クラスで靴を脱げばいいだけと考えているってことでしょう。
ややこしい日本のスリッパのルール
日本に住んだことのある外国人は、日本人の家を訪れた時、スリッパのルールに混乱してしまうそうです。家の玄関で自分の靴を脱いだら、差し出された小っちゃいスリッパに履き替える。そのスリッパで廊下を歩いて、そのままトイレに入ろうとしたら「ダメ!」と注意される。トイレ用のスリッパに履き替えるように言われて、その通りにして、トイレが終わったら、トイレのスリッパのまま廊下に出てしまう。すると「ちょっと、ちょっと!」と呼び止められる。何事かと思えば、トイレのスリッパを脱いで、最初のスリッパに履き替えるように言われる。ややこしいのはそれだけではない。スリッパで畳の部屋に入ったらダメだし、ベランダに出る時は、もう一度、ベランダ用のサンダルを履かなければならない。そして、部屋の中に戻る時は、スリッパを履いた方がいいのか、それとも、履いたらいけないのか、どっちなのか分からなくなってしまう!確かにややこしい。私自身、日本に帰ると、外国人と同じです。トイレを使うたびにトイレのスリッパを履いたままトイレを出てしまい、「それトイレのスリッパじゃない?」と家族に言われてしまう。
自分の家に来る人に靴を脱いでもらうためにどうするか?
私は、今では、「靴を脱いでください」と言うのも、「文化的に我が家では、靴を脱いで生活するんです。」と説明するのも嫌で、同じ習慣がない人を我が家に招待するのは面倒。ついつい避けてしまいます。それでも、人を招待する時は、事前に、我が家では靴を脱いで家の中に入るということを伝えておきます。その方が、その人は心構えが出来ますし、自分のスリッパなど室内用の靴などを持って来れるからです。そして、娘を靴のおまわりさんにして、ゲストが家の中に入る時、靴のまま入ろうとする人を捕まえてたり、靴を脱いで下さいと言う役目を与えます。
まとめ
アメリカ人は、ハウスルールをリスペクトしますから、自分の靴を脱いで下さいと言われれば、それがハウスルールならもちろん従います。でも、スリッパに関しては、理解できない。なぜ靴下のまま家に入ったらいけないのか、わからない。日本人としてみれば、スリッパを提供するのは、私の家の床のホコリが貴方の靴下についてしまっては申し訳ないので、じゃあホコリやゴミがついてしまわないように、このスリッパをどうぞ履いてください、と気を遣っているつもり?でも、外国人にしてみれば、靴下のまま家の中を歩いたらバチがあたるとか、何か悪い事が起きるかもしれないと迷信的な意味があるのかもしれない、と思うだろう。それに、なぜ、何人もの知らない人が履いたスリッパに自分の足を入れなきゃならないのか。そんなの気持ち悪いじゃないかと思うだろうとも思います。でも、自分はゲストとして日本にいるのだから、日本のルールに従おうじゃないか。結局は、郷に入っては郷に従えの言葉の通り、言われる通りにするわけです。でも、これがアメリカだったらどうでしょう?アメリカで日本人の家に遊びに行って、その家のルールをリスペクトして靴を脱いても、このスリッパにをどうぞ履いてくださいと言われたら、No thanks と断るだろう。なぜなら、アメリカは自分の国で、自分には常にチョイス(自由)があることを知っているから。
アメリカの人は、人の習慣、文化、ハウスルールをリスペクトしますから。もし、それに反した事をしたら、それは、きっと単に、ルールを知らなかったからやってしまった事だろうと思います。ですから、靴はここで脱いでと場所を明確に教えて、靴を脱ぐ理由を教えると食い違いがない。スリッパは、自分のを持って来てもいいし、履かなくてもいいと言ってあげるといいと思います。
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