食物アレルギーは死に至ることもあるため、とても深刻。肌がちょっと痒くなるくらいのアレルギー症状から、喉が閉まってしまい呼吸困難に至ってしまうという重度な症状を持つ人まで色々です。ですから、食べ物アレルギーを持つ人は間違って食べてはいけない物を食べてしまわないように慎重です。
アメリカではスーパーで食品のパッケージの表示をジーっと見ている人をよく見かけます。日本の商品と違って、アメリカでは、どの食品にも原料だけでなく栄養分が細かく記載されています。そのため、アレルギーを持つ成分などがその食品に入っていないかパッケージの裏に表示してある表を見ればわかります。
ナッツフリー
いろいろある食べ物アレルギーの中で、ナッツアレルギーが一番多いからか、アメリカの食品世界では、ナッツに対する注意や配慮があるのは一般的です。例えば、クッキーやブラウニーなどナッツが入ってる可能性がある食品には、これにはナッツは入ってないですよと知らせる為に、「No nuts」とパッケージに記載されていることが多い。また、その商品自体にナッツが入っていなくても、その工場でナッツを使用した商品も製造している場合は、「この商品が製造された工場では、ナッツを使った商品も製造している」という警告のメッセージをパッケージに記載します。つまり、他の商品のナッツの粒や粉が入ってしまっている可能性がゼロではないということです。
食物アレルギーの深刻さを知っておく
食物アレルギーの症状は、人によって違う。一般的な症状として、体が痒くなったり、腹痛、下痢、めまい、吐き気、唇が腫れたり、息苦しくなったりします。
舌が腫れたり、喉の中が腫れて閉じてしまったりすると呼吸困難になり危険です。
アレルギーの深刻さと危険を知らずに、私は、昔、とんでもない事をしてしまいました。アメリカの日本食レストランでバイトしていた時に起きた事です。
無料の付き出しをアメリカ人の家族に運んだ時に、ピーナッツは入ってるかと聞かれました。食べ物アレルギーの恐ろしさと深刻さを知らなかった私は、ピーナツが入ってるか確認せずに、「入ってない」と答えてしまいました。その食べ物にピーナツが入っているようにも見えなかったからです。
すると、それを食べた子供がアレルギー症状を出してしまったのです。ピーナツアレルギーを持っている子だったのです。その子を抱きかかえて大丈夫かって聞いてました。
その時、私は、とんでもないことをしたことを知りました。
常備していた薬を飲ませたから、大丈夫だろうとわかっていたからか、その子のお父さんは私に怒りませんでした。そして何よりも、その子供は、大丈夫だったので良かった。
学校での食べ物アレルギーに対する配慮
食物アレルギーを持っていても、大人は、必ず何かを食べる前に原料を見て食べてはいけない物がはいっていないか確認出来ますが、小さい子供はそれが出来ません。やはり、大人の手助けが必要です。そこで、アメリカでは、学校で食物アレルギーを持つ子供を守るための方針を持っているのだから素晴らしい。
- 壁に食べ物アレルギーを持つ子供の名前を書く
まず、デイケアやプリスクールでは、子供達が食事をする場所の壁に、食べ物を持つ子供の名前と何にアレルギーを持つかが大きく書かれていることが多い。先生が間違って生徒にアレルギーの食べ物を与えてしまわないためです。
- ピーナツ入りのおやつやお弁当は持って行けない
また、キンダーガーテンや小学生は、学校持って行くおやつやお弁当にはピーナツが入っていてはいけないという方針を持っています。また、自分のおやつを他の子供にあげたり、交換してはいけない(つまり、自分の家から持って来た物だけを食べる)という方針を持っている学校もあります。ただ、これに関する規則は学校によって多少は違うかもしれません。例えば、私の子供の学校では、パッケージに入っているおやつで封を開けていないお菓子なら友達にあげてもいい。でも、袋からクッキーを一つ取り出して、「はい、どうぞ」と友達にあげるのはダメ。
- ピーナツフリーゾーンを設置する
また、お弁当の時間は、カフェテリアの中にナッツフリーゾーンを設置し、ナッツアレルギーを持つ生徒はその中で食べる。
先生もクラス内での食物アレルギーを持つ生徒のためにお菓子を用意する
アメリカでは、キンダーガーテンや小学校では、自分の誕生日をクラスの友達にも祝ってもらいたいからとクラスの人数分のカップケーキを持って来ることが普通にあります。でも、クラスの中にナッツアレルギーを持つ子だけでなくグルテンや乳製品にアレルギーを持つ子もいることもあります。食物アレルギーのため、生徒がお誕生日を祝うために持って来たカップケーキやドーナツが食べれない生徒がいたら先生としては可哀そうで見ていられません。そのため、一般的に小さい子供のクラスを持つ先生は、グルテンフリーのお菓子やナッツフリーのお菓子、乳製品フリーのお菓子を用意して教室のクローゼットに閉まってあるのです。こういった配慮と優しさが嬉しいですね。
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アメリカでは、知らない子供にむやみに食べ物を与えない。その理由の一つは、その子供が食べ物アレルギーを持っているかもしれないから。
小さな子供を見ると可愛さでついに、何かあげたくなる大人は少なくないかと思います。
私もその一人で、たしか飴を持っていたはずだわ、とバッグの中を探してみたりします。
でも、これは気をつけなければなりません。
アレルギーの深刻さを理解しているからこそ、アメリカでは、他人の子供に、親の許可なしにお菓子や食べ物を与えません。
たかが棒が付いた飴でも、Can she have this? なんて風に親に聞くべきです。
アメリカでは、知らない子供にむやみに食べ物を与えない例の話をします。
私の娘が2、3歳だった頃にあった出来事です。ファーマーズマーケットの横にある公園で、大きな袋に入ったポップコーンを美味しそうに食べている大人がいました。私の娘は、その人の前に立って、ポップコーンを食べている姿をじーっと見上げているのです。私は、その光景があまりに可愛かったので、少し離れたところからその様子を数分見ていました。
その男性はじーっと前方を見ているだけで、自分の足元に立って自分を見上げている子供には、目を向けません。これが、私の父親だったら、きっと「少し食べる?」と言って小さな両手にポップコーンを入れるだろうな、と想像しました。
しかし、そんなことは、アメリカではあり得ない。それがアメリカなんです。知らない子供にむやみに食べ物を与えない。
別の出来事です。子供のハロウィーンのイベントで、スターバックスの恰好をして、本物のスタバのアイスコーヒーを小さなサンプルのコップに入れ、欲しいと言う人達にあげていた男の人がいました。
10歳くらいの女の子がCan I get some?と言うと、その人は、お父さんかお母さんを連れて来なさい。親がいいと言えばあげるよ。と言ってました。それでも、その子は、「大丈夫、コーヒーはいつも飲んでいるから」と言って説得していましたが、男の人は、「ダメだよ。責任をとりたくないしね。」と言って断る。
お店での試食も気を付けています。Costcoでは、親が隣にいない子供には試食の食べ物をあげてはいけないというポリシーがあります。子供だけで試食のブースに行くと、親はどこ?親を連れてきなさい。と言います。
日本であった、これと対象的な出来な事
私の幼い娘を抱っこひもに入れてバス停で並んでいると、私の後ろにならんでいたおばあさんが、私の背後で、ビニールで包まれていない人形焼を一つ素手で持って娘にあげていたのです。気がついて私が振り返ると笑顔で「かわいいね」と一言。
亡くなった私の祖母も、きっと似たようなことをしただろうなと祖母を懐かしく思う一瞬でもあった。
このおばあさんの世代には、きっと食べ物アレルギーを持つ人はいなかったのかもしれない。いないと言えるほど一般的ではなく、食べ物アレルギーという言葉しら知らないという人が多かったのかもしれない。
それに、素手で食べ物を掴んで人にあげるのも、当たり前のことなんでしょうね。
昔は、アメリカでもこういうことがあったかと思います。
でも、今の世代は違います。
記事掲載日:4/25/2015
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