感謝の気持ちを伝えたい時にお礼を言うのは、日本もアメリカも同じ。なので、「英語は苦手だけど、お礼を言うくらいは出来る!」と思っているかと思います。しかし、実は、これに関しても日本とアメリカでは違う点があるのです。長年のアメリカ生活に得たアメリカ人感覚で、つまりアメリカのレンズを通して見た日本とアメリカの違いをお話します。
「ありがとう」と言う時は、笑顔で言うか、声に感謝の気持ちを込める。
これは重要です。特に、相手に感謝の気持ちを伝えたいのなら。
ある日、仕事中に、お昼休憩から戻って来た日本人の同僚が「休憩ありがとうございました」と言ったので、その声がする方へ顔を向けると、ありがとうと言っているその顔は真顔。それも、私の顔を見るわけでもなく、足を止めるわけでもなく、私の横を通りながらまるで独り言のようにただ言葉を発したようにしか見えませんでした。とても変だなと感じました。アメリカの感覚で見るととても変です。そこで、何が変なのか分析してみました。
まず、この日、特別に休憩を与えたわけではありませんので、「休憩ありがとうございました」と言う必要ありません。アメリカでは、もし、この場合に何か言うとしたら、「I'm back.」これは、休憩を終えて仕事に戻りました。今からまた仕事します、という意味です。I'm back.はわざわざ言う必要もありませんが、日本の「ただいま」に似ていますので、どこかにちょっと行ってたけど戻って来た時に使う言葉としてよく使われます。
次は、笑顔がないし、声に感謝の感情が一切ない。これなら、何も「ありがとう」と言うのは無駄です。
相手の目を見て言わない。これでは誰にありがとうと言っているのかわかりません。
何にお礼を言っているのか明確に
日本語の「あの時はありがとうございました」とか「先日はありがとうございました」、曖昧で一体何に対してありがとうと言っているのかわかりません。英語だと、何に感謝しているのかを言うので何に感謝されているのか分かりやすい。例えば、Thank you for making the time to see me. または、もっと短く簡単に、Thank you for your time. なんて風に、よく使われるフレーズですが、これは、忙しい中、わざわざ時間を割いてくれてありがとうと言う意味です。ビジネスの場ではミーティングの最初の挨拶や最後のお礼の言葉として使えますが、ビジネスの場だけでなくカジュアルな場でも使えます。
Sorry をThank youの代わりにしない
例えば、車が渋滞していたなどで約束の時間に遅刻したとします。この場合、日本語で最も一般的に使われるフレーズは、「遅れてすみません。」遅刻したことに対して謝るのも大切ですが、待っていてくれたことに対して「ありがとう」は言うのはどうですか?その方がアメリカっぽいです。
I'm sorry I'm late. ...
英語のフレーズには、なるほどと考えさせられる意味を持つフレーズがあると、私は思います。
その中で、私が好きなフレーズは、You never know what someone is going through. So, be kind.
意味は、他人の事はその人にしか分からない。その人に何かが起きて辛い思いをしているのかもしれないし、その人にしかわからない事情がある。その日に何か悪い知らせを受けたのかもしれない、愛する人が病気かもしれない、愛する人を亡くしたのかもしれない、など、例は幾つも考えられるわけです。なので、人の態度や言った事にイラっとしても、あの人はああだ、こうだと決めつけてしまうのではなく、きっと何かがあったのだろうと理解してあげ、その人に優しくなろう。
確かに、このフレーズの意味の通りであるなと私は感じます。
この言葉の意味を常に頭に入れておけば、また、イラっとした時には、このフレーズを思い出せは相手に対しておおらかな気持ちになれるだろうと思います。
この言葉の意味としていい例はないかと探したところ、ある話を見つけました。
ある女性の話です。旦那さんが病院に入院してからの毎日、病院に見舞いに行くわけです。朝は、スタバといったカフェに寄ってコーヒーを買い、その足で病院にお見舞いに行く。ある朝、いつものようにコーヒーを買いに行くと、長い列がお店の外まで続いていたそうです。ああ、これでは病院に行くのが遅くなってしまう。旦那さんが心配するだろうと焦って、自分の前に並んでいた人に、先に行かせてくれるかお願いすると、もちろんですと譲ってくれただけでなく、列の一番前の人にまでこの女性を先に行かせてくれないか声をかけてくれたそうです。すると、みんな心よくもちろんです!と言ってくれたそうです。女性は、このお店での出来事に、皆の優しさにとても心に触れたと言います。
そして、毎晩、ケーキ屋さんに寄って大きなバナナのパイを買って帰るのが習慣になっていたこの女性は、ある時、お店の人に、個人的な質問をされたそうです。アメリカではよくあることです。きっと、毎晩パイを買いに来るのはなぜだろうと思ったに違いありません。そこで、自分のことを簡単に話したそうです。旦那さんが病院に入院していて、毎日病院と家の行ったり来たりで忙しいということを話したのだろうと思います。すると、お店の人は、パイ代を受け取らなかったそうです。その後も、何度もお店にパイを買いに行っても、いつも一番大きなサイズのパイを箱に入れてくれてお金は取らなかったそうです。その人のその優しさがとても嬉しかったと言います。
この女性は、自分の人生で一番つらかった時を乗り越えられたのは、友達や知らない人からの親切があったからだと言います。こういった人からもらった親切は、忘れることはない。いつまでも心に残ることだと。人への親切は、忘れられることがない、いつまでも人の心に残ることだと言います。
誰かの言葉や態度にイラっとしたら、怒らないで、何かあったのかなと考えてあげる気持ちを持つようにしよう。
そして、人には親切に。どんなに小さな親切でも、人の心に大きく触れるかもしれません。
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