アメリカの歯科保健についてどれだけご存知ですか? 健康な歯を維持するために、アメリカに住んでいる間も、定期的な歯科検査と歯のクリーニングを受けるべきです。今年はまだ歯科検査を受診していない方は、今年度の保険を使って年内中に受診しましょう。アメリカでは、年末が近づくにつれて病院の予約が殺到しますので、予約は今すぐ入れるべきです。
1.アメリカは、日本の国民健康保険・社会保険と同様な保険は存在しますか?
同等なものはありませんが、類似するものとしては、州が発行する低所得者用となります。また、医療保険と歯科保険は別です。通常は、勤務されている会社の福利厚生の一部として、会社が保険会社と契約する医療と歯科保険に加入し、その中から社員が様々なプランを選択するシステムとなっています。プランは、掛け金によって異なり、高い掛け金の方が保険会社から支払われる分が多くなリます。よって、歯の健康度合いや治療の必要性の度合い等でどのような保険に加入するかを個人が決めます。
2.歯科保険プランはどういう内容ですか?
1年間(通常、1月1日から12月31日まで)に保険会社が支払う限度額があります。1年間に$1500が平均で、さらに多く支払われれば、「いい保険」と言われています。限度額に達しなかった、残った分は来年度に持ち越せません。
治療内容により、保険会社がカバーする割合が異なります。歯科保険は次の3つのグループ、予防(preventive)、基本治療(basic)、メジャー治療(major)からなります。
予防には、診査、レントゲン撮影、そして歯のクリーニングが含まれます。年に2回のクリーニングは通常、100%保険でカバーされることがほとんどなので、自己負担がないこと多いです。予防を重要視しているあらわれなのでしょう。基本治療は虫歯治療(白や銀の詰め物)、根管治療、応急処置、口腔外科、歯周病の基本治療が含まれます。自己負担は治療費の約20%から50%となります。メジャー治療はクラウンやブリッジ(セラミックも含む)、入れ歯、インプラント等が含まれ、自己負担は約50%から60%となります。
3.歯科矯正は保険に含まれますか?
はい、多くの場合、1回限りカバーされる保険が多く、1回で約$1000まで保険会社が負担することが多いです。アメリカでは、矯正は歯並びをよくするという観点からだけで治療する訳ではなく、歯列を揃えることで、ブラッシングしやすくなり、虫歯と歯周病を予防できる効果がある等の科学的根拠があるので、矯正は保険対象となることが多いです。
4.どのような治療が完全自己負担となりますか?
ホワイトニングや審美歯科は選択的な治療とみなされるので、保険は一切支払われないことが多いです。ただし、交通事故等に遭った理由で審美歯科治療になった場合は支払われることがあります。
5.高額な治療になるのではないかが心配です…
クラウン、ブリッジ、インプラント等のメジャー治療は高額になることが多いので、“pre-authorization” (事前に書類を提出すること)を歯科医院から保険会社に提出してもらい、どのくらいの自己負担額になるかを把握してから治療を始めた方がいいでしょう。
情報提供:成田 真季(歯科医師・歯周病専門医)
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