キンダーガーテンは、幼稚園ではない
まず初めに、キンダーガーテンについて理解しましょう。アメリカでは、4歳でプリスクールを卒業して5歳でキンダーガーテンに進みます。日本で、5歳児は幼稚園児の年齢なため、キンダーガーテンを日本の幼稚園の年長さんと解釈されることが多いですが、キンダーガーテンは小学校の最年少の学年です。また、キンダーガーテンは小学生前の学年なので、重要ではないように思うかもしれませんが、違います。キンダーガーテンに入学するというのは、日本で小学1年生になるのと同じくらい子供にとって人生の大きな節目です。
徹底した教室内でのルール
アメリカは、カジュアルで自由というイメージが大きいかもしれませんが、ルールに関しては厳しい。校則が細かく定められています。ルールに関しては日本の学校よりも厳しいと聞いて驚くかもしれませんが本当です。生徒がルールに反することをした場合、曖昧に流されることはありません。アメリカには色々な事に法律があるように、学校内のルールも細かい。日本と大きく違うため、アメリカの学校に子供を通わせる親は、こういったルールを理解し、自分の子供に教えるべきです。
学校のルールは、キンダーガーテンでしっかりと教えられます。キンダーガーテンで教えられたルールや学校内での振舞い方は、小学校、中学校、高校へ行っても続きます。
ここでは、教室内でのルールについてお話します。
1.先生や他の生徒が話しているときは、静かに聞く。質問したい時は手をあげる。
アメリカでは、人が話している時は、黙って人の話を聞くというのは、人生の中で大切なソーシャルスキルの一つだと考えられています。そのため、このルールは2歳くらいから親が子供に教えることです。私は長年アメリカに住んでいて、日本以上に重要な事として子供に教えるスキルだと感じます。例えば、アメリカの親は、大人が話している時に子供が大人の話を邪魔することをいけない事だとその場で教えます。「大人が話している時は邪魔したらいけないって何度も言ってるでしょう。」という風に。しかし、アメリカで生活している日本の家族はこれと対照的です。「ちょっと待って」と子供に行言っても、大人が話している時は話が終わるまで子供は待つというルールを徹底してはいません。なので、大人が話しているそばで子供が「ねえ、ママ~」と言うのをやめなかったり大人の会話の邪魔をする。そして結局は、大人が話をやめて子供を優先するというパターンをよく見ます。
アメリカでは、人が話している時は、黙って人の話を聞くというのは家庭だけでなく学校でも身に付けるべきスキルとして教えられます。まず、キンダーガーテンに入ると、このルールを徹底的に教えます。授業中、他の生徒や先生が話している時に他の生徒が話だしたりしたら、先生はそれに厳しく反応します。生徒は、先生に注意されクラス内での生徒一人一人の態度を評価する表から、ポイントを減らされてしまいます。それを同じ日に数回繰り返すと、校長室へ送られてしまいます。
身に付いたスキルですので、新型コロナにより学校の授業がオンラインになっても、生徒たちは先生に質問があると勝手に話し出すことはなく、手を上げて先生に自分の名前を呼ばれるのを待つというのは変わっていません。
子供のうちに身に付けるべきソーシャルスキルは沢山あります。日本で、ソーシャルスキルトレーニングが働く大人の間で流行っていますが、ソーシャルスキルは子供のうちに身に付けておけば学校でも社会に出てからも人間関係で成功するはずです。ソーシャルスキルを学ぶために、「人を動かす 子供用: 子供に教えるべきソーシャルスキルの重要さ、友達の作り方と維持の仕方」がお薦めです。
2.授業中にトイレに行きたい時は、静かに手をあげる
アメリカでは、授業中で先生や生徒が話をしている時に「トイレに行っていいですか?」なんて言ってはいけません。人の話を邪魔していることになります。ですから、その代わりに、トイレに行きたいときに使う合図(写真上)を使います。手をこのようにして上に上げて、先生がそれに気が付くまで待ちます。先生が気が付いて「行っていいですよ」と言うまで待たなければなりません。
3.サークルタイム
キンダーガーテンの一日はサークルタイムで始まります。プリスクールでもやるため、アメリカのプリスクールに行ったことがある子はお馴染みのことです。
生徒が教室に入ってから始めにするべきことは、バックパックやお弁当を指定の場所に置くことです。その後すぐにサークルタイムが始まります。朝の会が始まりますよという合図で先生が口笛を吹いたり、歌を歌ったりします。それが聞こえると生徒は静かに教室の前ののカーペットの上に座ります。
4.自分の順番になるまで待ち、人と一緒に使う
キンダーガーテン生のうちから、色々な場面で順番を待つというのは大切な事だとして教えられます。そして、共有するということも大事です。
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5.先生や他の生徒をリスペクトする
リスペクトするということは、その人に人に失礼にならないようにという意味でもありますし、その人の意見や考え、感情、そしてその人自身の存在を大切に尊重するという意味です。
6.人に手を出さない
小さな子は、他の子供を押したり、ぶったりしてしまいがちです。英語では、Keep your hands to yourself! という決まり文句があります。つまり、他の生徒にちょっかいを出したり、ぶったり、押したり、引っ張ったりしないという意味です。これも教室のルールとして先生が生徒に教えます。
以上がアメリカの学校の一般的なルールです。
ルールを守れない生徒は「校長室に行きなさい」と言われる
先生は、授業の妨げになることを嫌います。ですから、生徒が学校のルールを守らなかった場合、先生は、授業を止めてその生徒を叱るということはしません。自分で生徒を叱るのではなく、その生徒をその場で校長室に送って校長先生に対応してもらいます。ここで、日本と大きく違うと私が感じるのは、アメリカでは、他の生徒の前で担任の先生が「何であなたは、先生の言うことを聞かないの?」なんて風に説教を始めないことです。他の生徒の前で恥をかかせないという意味でもあります。校長室に行きなさいと先生に言われるということは深刻なことだと生徒は分かっているため、生徒はああどうしようと焦ります。
学校からの毎日のレポート
キンダーガーテンのうちは、担任の先生が生徒一人一人の一日の態度や努力を数字や色などで評価して生徒の親が見れるように家に持って帰らせます。生徒の評価は黒板にも書かれるため、生徒たちに良い良い刺激となりやる気を出さす効果があります。こういった生徒の評価は1年生になってもやる先生がいます。また、良い評価をもらった生徒は、先生が用意した宝箱の中から好きな物を一つ選べる。宝箱の中には、小さなおもちゃや飾り、お菓子が入っています。キンダーガーテンと一年生は、まだ年齢が幼い為、こういった楽しいシステムを利用して遊び感覚を与えます。日本では考えられないことかと思いますが、厳しさだけでなく楽しく学ぶのが大事と考えます。アメリカならではです。
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